カテゴリ:糖尿病治療

GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での使用は危険!?使用すべきは「ウゴービ皮下注」

監修医

院長 麻沼卓弥 医師

日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医。
2012年より東京女子医科大学病院糖尿病・代謝内科助教など歴任。
2022年1月、青山レナセルクリニック院長に就任。
幹細胞再生治療を通じ、国民病で万病の元である糖尿病の根治に取り組んでいる。

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病治療において革新的な役割を果たしていますが、近年ではダイエット目的による使用も増加傾向にあります。

本記事では、GLP-1受容体作動薬のダイエット目的の使用の危険性、体重減少効果が期待されている「ウゴービ皮下注」について詳しく解説します。

GLP-1受容体作動薬とは

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療に使用される薬剤の一種で、体内で自然に産生される「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」の作用を模倣しています。

GLP-1は、血糖値が上昇すると分泌され、インスリンの放出を促進し、同時にグルカゴン(血糖値を上昇させるホルモン)の放出を抑制することで、血糖値の調節に寄与します。

GLP-1受容体作動薬は、このGLP-1の受容体に作用し、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる効果をもたらします。また、これらの薬剤は食欲を減少させる効果もあり、体重管理の補助としても有用です。

GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での使用は認められていない

近年、一部の美容クリニックなどで、糖尿病治療ではなく、ダイエット目的でGLP-1受容体作動薬を処方するケースが多く見られます。

しかしながら、日本においてダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬の使用は承認されておらず、一般社団法人日本糖尿病学会も下記のような声明を発表しています。

今般、一部のクリニック等において、2型糖尿病治療薬である GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を、適応外使用である美容・痩身・ダイエット等を目的として自由診療での処方を宣伝する医療広告が散見されます。2023年11月現在、供給を上回る需要増加の影響により複数の製剤において限定出荷が生じていることから、GLP-1受容体作動薬を真に必要とする2型糖尿病の患者への供給が滞ることのないよう、厚生労働省より「GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」が事務連絡として発出されています。

(中略)

医師とくに本学会員においては、不適切な薬物療法によって患者さんの健康を脅かす危険を常に念頭に置き、誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行ってください。また、特に本学会専門医による不適切な薬剤使用の推奨は、糖尿病専門医に対する国民の信頼を毀損するもので本学会として認められるものでないことを警告します。

実際に、SNSなどでは「GLP-1受容体作動薬を使用して痩せた」などの口コミも見られますが、健康リスクも不明なため、絶対に使用はしないようにしてください。

2023年に承認された抗肥満薬「ウゴービ皮下注」とは

しかし、このGLP-1受容体作動薬の中でも、抗肥満薬として使用が承認されている薬剤があります。それが、「ウゴービ皮下注」です。

「ウゴービ皮下注」は、2023年1月27日に厚生労働省によって承認された、ノボ ノルディスク ファーマ社の肥満症治療薬です。

このウゴービ皮下注は、下記の条件をすべて満たした場合のみに使用が認められています。

  • 高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有している
  • 食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない
  • BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する or BMIが35kg/m2以上

ウゴービは、既に糖尿病治療薬として使用されているオゼンピックやリベルサスと同様に、脳の満腹中枢に働きかけ、食欲と胃の蠕動運動を抑制することで体重減少効果が期待されます。

厚生労働省が実施した臨床試験では、10%以上の体重減少を達成した被験者は60.6%、15%以上の体重減少を達成した被験者は40.9%(2.4mg投与の場合)と、体重減少に一定に効果があることも確認されています。

なお、投与時の副作用としては、上咽頭炎、便秘、下痢、めまいなどが確認されていますが、死亡例はありませんでした。

使用を希望する際には必ず、GLP-1受容体作動薬の使用経験のある糖尿病内科専門医、内分泌内科専門医、循環器内科専門医にご相談ください。

まとめ

今回は、GLP-1受容体作動薬とウゴービ皮下注について解説しました。本記事を参考にして、ぜひGLP-1受容体作動薬への理解を深めてください。

また、青山レナセルクリニックでは、再生医療を用いた糖尿病治療を実施しております。幹細胞再生医療と培養上清エクソソーム療法を併用した糖尿病治療を提供しており、糖尿病はもちろん、糖尿病による合併症の治療も可能となっています。

最先端の再生医療を用いた糖尿病治療を受けてみたい方は、ぜひご予約ください。

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2023年12月15日現在
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