糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
健康な方の血管
すい臓から分泌されたインスリンが、血液中のブドウ糖を取り込み、身体のエネルギー源にして血液中の糖の割合を一定に保ちます。
糖尿病の方の血管
すい臓が疲れて分泌されるインスリンの数が減るため、ブドウ糖の取り込みが追い付かず、血液中のブドウ糖が一定数以上に増えてしまった状態になります。
糖尿病の患者数
2020年12月に厚生労働省から報告された「令和元年国民健康・栄養調査」によると、国内で糖尿病のリスクがある患者は2251万人といると推定されており、
男性の3人に1人、女性の5人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症する可能性があります。
糖尿病リスク患者数の推移
厚生労働省2020年12月「令和元年国民健康・栄養調査より」
「国民病」糖尿病の歴史
糖尿病の歴史は古く、紀元前1550年頃の古代エジプト、パピルスに『尿がたくさん出る』と、糖尿病の症状が記述されています。これが人類最古の糖尿病に関する記述と言われています。
また、日本の歴史上最古の糖尿病患者は藤原道長(966~1027,平安時代中期)です。国宝・御堂関白記には、51歳時に口渇,多飲,53歳時に胸病,視力障害、62歳時には背中に大きな腫れ物ができ、化膿し、最後には敗血症で亡くなりました。
視力障害は糖尿病網膜症、化膿は糖尿病の易感染性によるものと考えられています。まさしく、糖尿病の合併症です。栄華を極め、美食,酒宴を楽しんだことによる生活習慣が糖尿病を引き起こしたことが窺えます。