糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの7選|おすすめの食事の摂り方も
監修医
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医。
2012年より東京女子医科大学病院糖尿病・代謝内科助教など歴任。
2022年1月、青山レナセルクリニック院長に就任。
幹細胞再生治療を通じ、国民病で万病の元である糖尿病の根治に取り組んでいる。
日々の血糖値管理は、糖尿病患者にとって最も重要なタスクの一つです。
しかし、どのような食品が血糖値に悪影響を与えるのか、具体的に理解している人は意外と少ないのが現状です。
本記事では、糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの、糖尿病患者におすすめの食事の摂り方などについて解説します。
目次
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなものとは?
まずは、糖尿病患者が食事で摂取してはダメな食品について解説します。
結論から言えば、糖尿病患者が食事で摂取してはダメな食品は存在しませんが、糖尿病患者が摂取すべきではない食品は存在します。そして、それらの食品にはいくつかの特徴が存在します。
そこで、ここでは糖尿病患者が摂取すべきではない食品の特徴を解説します。
糖質が多い食品は避けるべき
まずは、糖質が多い食品は避けるべきです。
糖尿病は体が血糖をうまく利用できない状態であり、食事から摂取される糖質が血糖値の上昇を引き起こす主要な原因の一つとなります。そのため、糖尿病患者にとって、糖質が多く含まれる食品は、血糖値のコントロールを難しくする可能性があるため、注意が必要です。
しかし、糖質を完全に避ける必要はありません。糖尿病の食事療法では、糖質の摂取量をコントロールし、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
塩分・脂質・カロリーの摂りすぎもNG
糖尿病患者は、塩分、脂質、カロリーの摂取量にも注意を払うことが重要です。なぜなら、糖尿病は心血管疾患のリスクを高めるため、これらの栄養素の摂り過ぎは健康上の問題を引き起こす可能性があるからです。
塩分の過剰な摂取は高血圧のリスクを増大させるため、特に注意が必要です。高血圧は糖尿病患者にとって、心臓病や脳卒中などの合併症を引き起こす要因となることが知られています。
脂質についても同様に、特に飽和脂肪酸の摂取は心血管疾患のリスクを高めるため、これを多く含む食品は避けるべきです。
また、カロリーの摂取量も重要です。過剰なカロリー摂取は体重増加を招き、それが糖尿病の管理を複雑化させることにつながります。適切な体重管理は、血糖値を安定させるうえで不可欠です。
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの一覧
続いては、糖尿病患者が食事で摂取してはダメなものを7つ紹介します。
菓子パン
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの1つ目は、菓子パンです。
菓子パンは一見、便利で手軽な食事に見えますが、菓子パンに含まれる砂糖や小麦粉は高い血糖値の上昇を引き起こすリスクを持っています。
また、多くの菓子パンには、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸といった健康にとって有害な脂質も含まれており、これが糖尿病の合併症のリスクをさらに高めることがあります。
高炭水化物食品
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの2つ目は、高炭水化物食品です。
ごはん、パン、麺類などの炭水化物は、糖分が多く、食物繊維が少ないため体内で糖に変わりやすく、食後の血糖値を急激に上昇させる傾向があります。
また、ポテトチップスやフライドポテトのようなジャガイモ製品にも、非常に多量の炭水化物が含まれており、特に血糖値を急激に上昇させる炭水化物である「複合糖質」が多く含まれています。
そして、ポテトチップスやフライドポテトに関しては、グリセミック指数(GI)についても見逃せません。グリセミック指数が高い食品は血糖値を急速に上昇させる可能性があるのですが、ジャガイモは揚げることで、高いグリセミック指数を持つ食品となります。
さらに、ポテトチップスやフライドポテトには、心血管疾患のリスクを高めると指摘されている、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれていることが多いです。
お菓子
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの3つ目は、お菓子です。
多くのお菓子には多量の糖分と炭水化物が含まれており、これらが血糖値の急激な上昇を引き起こす原因となります。特に、ケーキやクッキーは、糖分と炭水化物両方を多量に摂取することになるため、糖尿病患者は避けるべきです。
さらに、お菓子には飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれることも多く、これらは心臓病や脂質異常症のリスクを高める可能性があるため、糖尿病の合併症を予防する観点からも摂取を控えることが推奨されます。
フルーツ
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの4つ目は、フルーツです。
フルーツは自然な甘さを持ち、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む健康的な食品ですが、その甘さの源であるフルクトース(果糖)が血糖値に影響を与えることがあります。
血糖値は血中のブドウ糖の濃度を指します。本来、フルクトースとブドウ糖は別物のため、フルクトースが直接的に血糖値を上げることはありません。
しかし、「糖新生」という現象により、フルクトースはブドウ糖に変換されるため、ゆるやかではありますが、最終的には血糖値の上昇に寄与します。
特に、バナナ、ブドウ、マンゴーなどの糖質が多いフルーツは要注意です。糖尿病患者が摂取するのであれば、いちご、なし、グレープフルーツ、桃などの糖質が少ないフルーツを選ぶようにしましょう。
甘い飲み物
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの5つ目は、甘い飲み物です。
スポーツドリンクなどの清涼飲料水には糖分が多量に含まれているため、血糖値を急激に上昇させる可能性があります。
加えて、清涼飲料水には添加された砂糖だけでなく、人工甘味料や保存料などの添加物も含まれていることが多く、これらの成分が糖尿病患者にとって不適切な影響を与えることがあります。例えば、一部の人工甘味料はインスリンの分泌を促すことが指摘されており、糖尿病の血糖コントロールに影響を与える可能性があります。
また、前述のフルーツと同じ理由で、野菜ジュースやフルーツジュースも危険です。特に、市販のフルーツジュースはフルーツや野菜本来の糖に加えて、砂糖が含まれている場合が多いです。
加えて、ジュースにすることでフルーツや野菜本来の食物繊維が減少し、そのまま食べる場合と比べて血糖値が上がりやすくなります。
さらに、女性の方はフラペチーノやカフェでの甘い飲みものもよく好まれると思います。砂糖が多く含まれているのに加えて液体になっているため非常に血糖が上がりやすく危険です。
アルコール
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの6つ目は、アルコールです。
アルコールは血糖値に直接的、間接的に影響を及ぼす可能性があり、糖尿病の管理を複雑にする要因となり得ます。
まず、多くのアルコール飲料には糖分が含まれていますが、アルコールを分解する際に血糖を消費します。経口血糖降下薬やインスリンを使用している場合は、低血糖のリスクもあります。一般的には、アルコールを摂取すると低血糖傾向になります。その結果食欲が増進し、体重増加の一因となります。
また、アルコールは肝臓に影響を与え、肝臓の正常な機能を妨げることがあります。肝臓は血糖値を調節する重要な役割を持っているため、その機能が低下すると血糖コントロールが難しくなることがあります。
そのため、糖尿病患者がアルコールを摂取する場合は、医師や栄養士と相談し、摂取量やタイプを厳格に管理することが重要です。
コーンフレーク/シリアル
糖尿病患者が食事で摂取してはダメなもの7つ目は、コーンフレーク/シリアルです。
コーンフレークやシリアルは一見健康的な朝食の選択肢のように思われがちですが、炭水化物の含有量が高く、特に加工されたシリアル製品には糖分が多く加えられている場合があります。
また、コーンフレークやシリアルの多くはグリセミック指数が高く、血糖値の急上昇を引き起こす可能性があります。
糖尿病患者は、血糖値を安定させるために、高GIの食品や加工されたシリアル製品の摂取を避け、代わりに全粒穀物や高繊維の食品を選ぶようにしましょう。
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方
続いては、糖尿病患者におすすめの食事の摂り方を5つ紹介します。
食物繊維を意識して摂取する
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方の1つ目は、食物繊維を意識して摂取することです。
野菜、全粒穀物、豆類、果物、ナッツに多く含まれている食物繊維は、糖尿病患者の血糖値管理において重要な要素の一つです。食物繊維は消化が遅く、炭水化物の吸収を緩やかにするため、食後の血糖値の急上昇を防ぎます。
また、食物繊維は満腹感を与えるため、過食を防ぎやすくなります。さらに、食物繊維は腸内環境を改善し、便秘の予防やコレステロール値の改善にも役立ちます。
このように、食物繊維を意識的に摂取することで、糖尿病患者の血糖管理をサポートし、健康状態を向上させる効果が期待できるのです。
蒸し物・煮物を食べる
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方の2つ目は、蒸し物・煮物を食べることです。
蒸し物や煮物は油の使用を抑えることができ、食材の栄養素を逃さずに摂取することができるため、糖尿病患者の血糖値管理に特におすすめです。例えば、野菜や魚などの低脂肪で栄養価の高い食材を使用した蒸し物や煮物は、最も効果的な食事の選択肢と言えます。
また、蒸し物や煮物は、食材の食感を柔らかくするため、噛む回数が増えることにもつながります。これにより、満腹感を感じやすくなるため、過食を防ぎやすくなります。噛むことによる満腹感は、食べ過ぎを防ぎ、結果的に血糖値のコントロールに役立ちます。
さらに、蒸し物や煮物は食材の持つ自然な甘みや旨味を最大限に引き出すため、糖尿病患者でも安心して楽しむことができます。調味料を控えめにすることで、塩分の摂取も抑えられ、高血圧など他の健康リスクへの配慮にも繋がります。
このように、蒸し物や煮物を取り入れることは、糖尿病患者にとって、血糖値のコントロール、体重管理、健康維持という3つの観点からおすすめできる食事の摂り方なのです。
だしを使った料理を食べる
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方の3つ目は、だしを使った料理を食べることです。
糖尿病患者においては、食事での血糖値の管理が非常に重要です。そのため、料理においては味付けに工夫を凝らすことが勧められます。具体的には、「だしを使った料理」が非常に有効です。だしは、食材本来の旨味を引き出し、塩分や糖分を控えた調理が可能になります。
だしを使うことで、料理に深みと風味を加えることができるため、少ない塩分や調味料で満足感のある味わいを作ることが可能です。これは、糖尿病患者が塩分や糖分を控える上で非常に重要なポイントです。特に、昆布やかつお節、しいたけなどから取れる天然のだしは、化学調味料を使用せずに済むため、健康的な選択と言えます。
また、だしを使った和食は、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を構成しやすいです。これらの食材は、血糖値の急激な上昇を抑える効果があり、糖尿病患者にとって理想的な食材です。さらに、だしを使った料理は消化が良く、噛む回数が増えるため、満腹感を感じやすくなります。
和食のようにだしを基本とした料理は、糖尿病患者にとっても満足感を得ながら、血糖値のコントロールを助ける健康的な食事法と言えるでしょう。だしの自然な風味は食事の楽しみを提供しつつ、健康管理にも貢献します。
加工食品の摂取は控える
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方の4つ目は、加工食品の摂取は控えることです。
加工食品とは効率的に栄養を摂取できるため作られています。その過程で食物繊維などが除去され、結果糖質、脂肪、塩分が多く含まれており、カロリーも高くなります。加えて、身体に必要な栄養素であるビタミンやミネラル、食物繊維などはあまり含まれていないため、糖尿病患者にとっては、「百害あって一利なし」の食品なのです。
例えば、米類であれば加工されていない食品、玄米などを食べる、パスタやパンであれば全粒粉入りにする、炭水化物では茶色のものが加工されていないと考えていいと思います。菓子パンや、清涼飲料水、お菓子なども代表的な加工食品です。甘いものであれば、芋類や、少量の果物のほうが体重増加は抑えられます。
ゆっくり時間をかけて食べる
糖尿病患者におすすめの食事の摂り方の5つ目は、ゆっくり時間をかけて食べることです。
急いで食べると、一度に大量の食べ物が消化吸収されるため、血糖値が急激に上昇するリスクがあります。しかし、ゆっくりと食べることで食物が徐々に消化され、血糖値の上昇が穏やかになります。
また、ゆっくり食べることは、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。食事をする際には、噛む回数を増やし、食べ物をよく噛んで食べることが重要です。これにより、満腹中枢が刺激され、少量の食事でも満足感を得やすくなります。
特に糖尿病患者は、カロリー摂取量や炭水化物の摂取に注意する必要があるため、過食を防ぐことは病状管理にとって重要なポイントです。
血糖値の急激な上昇を防ぎ、食べ過ぎを避けるためにも、ゆっくりと時間をかけて食事をする習慣を身につけることが、糖尿病患者の健康管理にとって非常に有効なのです。
まとめ:食事に注意して糖尿病を改善しよう
今回は、糖尿病患者が食事で摂取してはダメなものについて解説しました。
冒頭で述べた通り、糖尿病患者が絶対に摂取してはダメなものは存在しません。今回紹介した食品も、量を適切に管理すれば、摂取しても問題はありません。
ですが、中には自制心が効かず、ついつい食べてしまう方も多いと思います。その場合でも食後に運動などすることで血糖管理ができる可能性もあります。
糖尿病の症状を抑えるためにも今回紹介した食事の摂取は避け、健康的な食生活を心がけましょう。
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