カテゴリ:糖尿病治療

糖尿病治療薬の分類一覧|注意すべき副作用,血糖値が下がる仕組みも

監修医

院長 麻沼卓弥 医師

日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医。
2012年より東京女子医科大学病院糖尿病・代謝内科助教など歴任。
2022年1月、青山レナセルクリニック院長に就任。
幹細胞再生治療を通じ、国民病で万病の元である糖尿病の根治に取り組んでいる。

糖尿病は世界中で急速に増加しており、現代の社会において深刻な健康問題となっています。糖尿病の管理は日々の生活における食事や運動の調整だけでなく、医学的な介入を必要とすることが多いです。

しかしながら幸いなことに、医療技術の進展により、糖尿病治療薬の開発は著しい進歩を遂げており、現在は多岐にわたる治療薬が利用可能です。

本記事では、糖尿病治療薬の分類、糖尿病治療薬の一覧、糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用などについて解説します。

糖尿病治療薬で血糖値が下がる仕組み

糖尿病は、体内で分泌されるホルモンの働きが不十分になり、血糖値のコントロールができず、血糖値が高い状態が続く病気です。その治療薬として使われるのが、血糖値を下げる薬です。

糖尿病治療薬には数多くの種類が存在しますが、いずれも、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の働きをサポートしたり、分泌を刺激する働きを持っています。糖尿病治療薬はこのインスリンに作用することで、血糖値を下げる役割を果たすのです。

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糖尿病治療薬の分類

糖尿病治療薬は、大きく以下の4つに分類されています。

  • インスリン抵抗性改善系:主に脂肪組織、肝臓、筋肉に働きかけることで、脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させ、血糖を下げる薬。
  • インスリン分泌促進系:すい臓からのインスリン分泌を促進して、食後の血糖の上昇を抑える薬。
  • 糖吸収・排泄調節系:糖の腸管からの吸収、腎臓からの排泄を調節する薬。
  • インスリン:すい臓から分泌される、血糖を下げる効果のあるホルモン。注射薬として使用される。

本記事では、以上4つの分類を踏まえたうえで、糖尿病治療薬を紹介します。

糖尿病治療薬一覧【経口薬】

まずは、経口投与の糖尿病治療薬を紹介します。

チアゾリジン薬

分類

インスリン抵抗性改善系

効果

骨格筋・肝臓でのインスリン感受性の改善

代表的な治療薬

ピオグリタゾン塩酸塩 

ビグアナイド薬

分類

インスリン抵抗性改善系

効果

肝臓での糖新生の抑制、組織のインスリン感受性の改善

代表的な治療薬

メトホルミン塩酸塩

グリミン薬

分類

インスリン分泌促進系

効果

インスリン分泌の促進と肝臓・骨格筋での糖代謝の改善

代表的な治療薬

イメグリミン塩酸塩

DPP-4阻害薬

分類

インスリン分泌促進系

効果

血糖依存性のインスリン分泌促進

代表的な治療薬

アログリプチン安息香酸塩、サキサグリプチン水和物、シタグリプチンリン酸塩水和物、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、リナグリプチン、アナグリプチン、ビルダグリプチン、オマリグリプチン、トレラグリプチンコハク酸塩

スルホニル尿素薬(SU薬)

分類

インスリン分泌促進系

効果

インスリン分泌の促進

代表的な治療薬

クロルプロパミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリクラジド、グリベンクラミド、グリメピリド

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

分類

インスリン分泌促進系

効果

より速やかなインスリン分泌の促進・食後高血糖の改善

代表的な治療薬

ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物、レパグリニド

αグルコシダーゼ阻害薬

分類

糖吸収・排泄調節系

効果

炭水化物の吸収遅延・食後高血糖の改善

代表的な治療薬

アカルボース、ボグリボース 、ミグリトール

SGLT2阻害薬

分類

糖吸収・排泄調節系

効果

腎臓での再吸収阻害による尿中ブドウ糖排泄促進、腎保護、心不全予防

代表的な治療薬

ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物、イプラグリフロジン Lプロリン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン水和物、トホグリフロジン水和物、ルセオグリフロジン水和物

糖尿病治療薬一覧【注射薬】

まずは、注射投与の糖尿病治療薬を紹介します。

インスリン製剤

分類

インスリン

効果

食後の血糖値の上昇抑制

代表的な治療薬

超速効型インスリンアナログ(インスリングルリジン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト)、混合型インスリンアナログ(二相性プロタミン結晶性アナログ水性懸濁、インスリンリスプロ混合製剤)、持効型溶解インスリンアナログ(インスリンデグルテク、インスリングラルギン、インスリンデテミル)速攻型ヒトインスリン(ヒトインスリン、生合成ヒト中成インスリン)、混合型ヒトインスリン(生合成ヒト二相性イソフェンインスリン水性懸濁)、中間型ヒトインスリン(生合成ヒトイソフェンインスリン水性懸濁)

GLP-1受容体作動薬

分類

インスリン分泌促進系

効果

インスリン分泌の促進、グルカゴン分泌の抑制、食欲抑制、血管保護

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糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用

続いては、糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用を3つ紹介します。

副作用①:低血糖

糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用の1つ目は、低血糖です。

低血糖になると、ふらつき、異常な汗、強い空腹感、震え、集中力の低下、意識混濁などの症状が現れることがあります。

特にインスリン療法やサルフォニル尿素薬などの経口血糖降下薬を用いる場合に起こりやすいとされています。

また、食事の摂取が遅れたり、運動量が予定より多くなったりした場合にも、上記の症状は顕著になりやすいです。

副作用②:消化器症状

糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用の2つ目は、吐き気、下痢、おならです。

糖尿病治療薬の中には、消化器系の副作用を引き起こすものがあります。ビグアナイド系は吐き気、下痢、GLP1受容体作動薬は吐き気、αグルコシダーゼ阻害薬は腸内環境に影響を与えておならが増えることがあります。これは、薬剤によって小腸での炭水化物の吸収が遅れ、未消化の炭水化物が大腸に達し、腸内細菌の発酵作用によってガスが発生するためです。

特にα-グルコシダーゼ阻害薬などの腸内作用を促すタイプの薬剤に、おならの副作用が多いと報告されています。

副作用③:体重の増減

糖尿病治療薬の使用で注意すべき副作用の3つ目は、体重の増減です。

糖尿病治療薬の副作用として体重の増減は重要なポイントであり、さまざまな薬剤によって体重に異なる影響が出ることが知られています。

インスリン療法やスルホニル尿素薬などのインスリン分泌促進薬は、低血糖を避けるために体内でのエネルギー消費を抑制し、体重増加を引き起こす可能性があります。

一方で、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬といった新しいクラスの薬剤は、カロリー排出の促進や食欲の抑制に寄与するため、体重減少を助ける作用があります。

患者によってはこの体重の増減が望ましい効果となり得ますが、不適切な体重変化は別の健康問題を引き起こすリスクがあるため、治療薬を処方された際には定期的な体重測定とそれに伴う医師との相談が必要です。

まとめ:治療薬を活用して糖尿病を治そう

今回は、糖尿病の治療薬について解説しました。
糖尿病の治療薬は数多く存在し、症状によって、使用すべき治療薬も異なります。
糖尿病の治療薬を使用する際は医師の判断に従い、正しい治療で、糖尿病の改善に努めましょう。

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2023年11月5日現在
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