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糖尿病を持つ人に知ってほしいこと

今回糖尿病に関するコラムを執筆させて頂くにあたり、糖尿病を持つ人に知っていてほしいことをお伝えしようと思います。

 

日々の診療で気をつけているがあります。それはどうすれば患者さん達は、糖尿病という疾患を自身のことと捉え、治療のモチベーションを高めることができるかということです。大切なのは、糖尿病という疾患について知って頂くこと、自身の身体のことを理解すること、その上どのように生活していくか、どのように生きていくかだと思います。

 

したがって、今回は糖尿病を持つこと、および血糖コントロールが不良によるある程度具体的な不利益を知って頂き、知った上でどのように行動するかをよく考えて頂きたいと医療サイドから願っております。

 

日本糖尿病学会による報告では、2001〜2010年の10年間で糖尿病患者の平均死亡時年齢は、男性71.4 歳、女性75.1 歳で、同時代の日本人一般の平均寿命に比して、それぞれ8.2 歳、11.2 歳短命でした。約10年間の寿命の差があり、この差を是正することが第一に糖尿病を治療する目的となります。

 

悲観して頂きたくないのは前回(1991~2000 年)の調査成績と比べて,男性で3.4 歳、女性で3.5 歳の延命が認められ、日本人一般における平均寿命の伸び(男性2.0 歳,女性1.7 歳)より大きかったということです。以前と比較して糖尿病による合併症の頻度は抑制されていると報告されています1)

 

第二に、直接的な死因のみならず高齢化によるサルコペニア(加齢などが原因で筋肉量が減少したり筋力が低下したりすること)、フレイル(健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態)による生活の質の低下(転倒による骨折、認知症の進行、介護状態など)を予防することも目的となります。

 

また糖尿病を持つことで、社会的な不利益、偏見(怠けている、だらしない、節度がない、今季がない、管理ができない)、差別(失職、内定取り消し、生命保険、雇用機会の喪失、住宅ローン)などの健康以外のネガティブな側面も現実問題として存在します。

 

糖尿病を持つ方々には、嫌な聞きたくない話です。ただ、まず糖尿病とともに生きて行くにあたり、まずは治療の目的をはっきりさせることが何より肝要です。

 

家族歴や、環境など変えられない自己管理を阻害する要因も確かに存在します。ただ、食習慣や、運動習慣などそれぞれの自身の変えうる要因もあります。考え行動し、そのような経験を糖尿病ですらも糧にして頂き、皆さんの人生を生きて頂ければ幸いです。

 

 

1) 中村 二郎、 神谷 英紀、 羽田 勝計、 稲垣 暢也、 谷澤 幸生、 荒木 栄一、 植木 浩二郎、 中山 健夫(2016) 糖尿病の死因に関する委員会報告. 糖尿病 59 : 667-684

 

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