ED再生医療

既存のED治療では回復が困難な方

先進的再生医療根治目指す

「幹細胞治療」「エクソソーム注射」
という選択

EDの原因発病のプロセスから 再生医療によるアプローチまで

EDとは、英語の「Erectile Dysfunction」の略称で、
日本では「勃起障害」又は「勃起不全」と訳されます。

全く勃起しないケースに限らず、硬さや維持が不十分であるため
「満足な性交が完結できない状態」を含めると、
日本の成人男性の約半数がなんらかのED症状を抱えているとされています。

本ページでは、陰茎の構造や勃起の仕組み、
EDの原因や発病のプロセスから一般的な治療法、
さらに再生医療による最新のアプローチまで詳しく解説します。

陰茎海綿体の構造

陰茎内は尿道(尿道海綿体)を挟んで左右に陰茎海綿体と呼ばれるスポンジ状の組織で構成されています。海綿体の中は臨機応変に血液を蓄えることができる、無数の海綿体洞と呼ばれるスポンジの穴のような小さな空洞と、それらを隔てる壁のように海綿体小柱(しょうちゅう)が混在し、海綿体の内部には無数の毛細血管が走っています。
この構造全体の外側は、白膜(はくまく)という厚く丈夫な線維膜で覆われており、非勃起時は、海綿体の中央に位置する太い深動脈から分岐し蛇行したラセン動脈が、海綿体洞の入口で収縮してごく微量の血液供給を行っています。

勃起を支配する平滑筋

海綿体小柱は、平滑筋細胞線維芽細胞コラーゲン及び弾性線維で構成されている混合組織です。

勃起に最も重要な役割を果たす平滑筋は、骨格筋(腕や足など、意識的に動かせる筋肉)とは異なり、自分の意思では動かせない不随意筋です(血管壁や内臓などにも存在します)。
この平滑筋が海綿体小柱内で弛緩と収縮を繰り返すことで、陰茎海綿体への血流が制御されます。すなわち、非勃起時は海綿体洞に多量の血液が流れ込まないよう、ラセン動脈の先端で捻じれて収縮し、いわば蛇口が閉じた状態を保っています。

勃起の仕組み

  • 勃起とは 「血液の流入>流出」で生じる現象

    勃起のメカニズムは実に複雑で、陰茎内の神経や血管が正常に作用し、勃起に必要な多様な物質が放出されなければ成立しません。

  • 勃起のトリガー 神経型NO

    視覚・聴覚・想像などで大脳の中枢神経が性的刺激を受けると脊髄を経由して陰茎内に信号が伝達されます。あるいは、陰茎・会陰に対する触覚刺激により仙髄が直接信号を受信すると、陰茎周辺に網状に張り巡らされた副交感神経が活性化し、神経終末から、神経伝達物質である一酸化窒素(NO)が大量に放出されます。これを「神経型NO(nNOS)」と呼び、勃起にスイッチが入ります。

    ※多くの神経伝達物質がシナプス間隙のみで働くのに対し、NOは広い範囲に拡散して、直接接していない他の神経細胞にも影響を与えることができます。

  • 勃起維持の主役 平滑筋の弛緩に伴う血流の急増

    1cGMPの生成

    性的刺激によりNOが放出されると、NOのシグナルに応答してサイクリックGMP(cGMP)(可溶性グアニル酸シクラーゼ)と呼ばれる分子が大量に生成され、これが刺激となって平滑筋細胞が一気に弛緩します。
    つまり、cGMPは、言わば陰茎内で産生される天然の血管拡張剤と言えます。

    2平滑筋の弛緩による血流の急増

    スポンジ状の海綿体組織内で平滑筋が一気に緩むと、無数の細動脈が一斉に拡張し、中心部の深動脈が開いて血流が急増します。この結果、平滑筋が弛緩し蛇口が開いたラセン動脈から海綿体洞の中に大量の血液が流入し、一気に海綿体が膨張します。

  • 静脈の圧迫による陰茎圧の上昇

    海綿体はスポンジ状の構造ですから、血液で満たされると周囲の白膜が伸展し、表層にある静脈を圧迫します。
    つまり、血液の「入口」である動脈は開き、「出口」の静脈は閉じることで、血液の流入が拡大する一方で流出が妨げられるため、血液が閉じ込められて圧力が上がって陰茎の堅さが増します。これが勃起のメカニズムです。

  • 勃起維持の主役 内皮型NO

    いっぽう、拡張した陰茎海綿体内の血管の内皮細胞からも断続的にNOが放出され、これを「内皮型NO(cNOS)」と呼びます。血管内皮細胞は、最も主要なNOの発生源で、内皮型NOは勃起の維持に主導的役割を果たします。

  • 勃起の終了を促進する PDE5

    射精後、あるいは性的興奮が静まると、平滑筋細胞内に存在するPDE5という酵素がcGMPの分解を通じて平滑筋を再び収縮させ勃起の終了を促進します。
    このPDE5は、性交時にも産生されており、勃起を維持しようとするcGMPと“せめぎ合い”をしていますが、性的興奮が収まると、cGMPよりPDE5が生成される割合が多くなります。その結果、cGMPの分解が進み、拡張していた血管が再び収縮すると、陰茎海綿体内に充満していた血液は体内に戻るため、陰茎も柔らかくなり、元通りの状態になります。

まとめ 性的刺激から勃起の終了まで

  • 性的刺激
  • 信号発信「脊髄を経由(脳からの信号、陰茎からの求心性信号)」
  • 陰茎周囲の神経(副交感神経)が信号受信
  • 神経伝達物質である一酸化窒素(NO)放出
  • cGMP生成
  • NOとcGMPが結合して陰茎海綿体の平滑筋を弛緩
  • 海綿体内の動脈が拡張し血流が急増
  • 海綿体が膨張し白膜が伸展
  • 海綿体周囲の静脈を圧迫
  • 「血液の流入増vs流出減」により陰茎の圧が上昇
  • 勃起
  • 内皮型NOの産生によるcGMPの産生で勃起維持
  • 射精
  • PDE5によるcGMPの分解
  • 平滑筋が再び収縮
  • 勃起の終了

EDの原因と発病のプロセス

EDとは?

2025年度版 男性性機能障害診療ガイドライン」によれば、ED(勃起障害又は勃起不全)は、以下のとおり定義されています。
「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または(and/or)維持できない状態が持続または(or)再発すること)」
つまり、EDとは、「勃起機能の低下」全般を意味し、全く勃起しないケースに限らず、硬さや維持が不十分であるために「満足な性交が完結できない状態」のことをいいます。

EDの原因と種類

前記「2.勃起の仕組み」で詳しく解説したとおり、勃起のプロセスは非常に複雑で、陰茎内の神経や血管が正常に機能し、かつ勃起に必要な多様な物質が1つでも作用しないと十分に勃起しない、あるいは堅さが出ない、というED状態となります。
このように、何らかの作用や物質の欠如または障害が引き起こすEDは、原因によって、①器質性、②心因性、③薬剤性、④混合型、の4種類に大別されます。

主な原因

対象

器質性ED

・神経障害
(糖尿病、外傷、外科手術の後遺症)
・血流障害(動脈硬化)
・内分泌機能低下
(男性ホルモン減少)

中高年以上

心因性ED

・日常生活上のストレス
・性行為に対するトラウマ

20代~30代の若年層に多い

薬剤性ED

・内服している薬剤の副作用

抗鬱薬、AGA治療薬、降圧剤、
前立腺肥大治療薬等の服用者

混合型ED

・「器質性」「心因性」「薬剤性」等の混合

※右にスライドできます

当院は再生医療総合クリニックとして、特に糖尿病や動脈硬化症をはじめとする中高年の生活習慣病に対する幹細胞治療や培養上清エクソソーム治療に注力していますので、以下に器質性EDの大半を占める血管性EDについて詳しく解説します。

動脈硬化、糖尿病が
EDを誘発するメカニズム

器質性EDとは、その名のとおり「物理的に勃起が阻害されるED」のことで、主に「血管障害」「神経障害」「男性ホルモンの減少による内分泌機能の低下」に大別されます。
この中で、中高年世代に最も一般的なのが、血管障害、すなわち「血管性のED」です。

  • 動脈硬化による
    血管性ED発病のプロセス

    血流悪化による平滑筋機能の低下

    血管性EDの大半は、中高年以降動脈硬化によるものです。
    誰でも加齢により血管壁が硬化し弾力性が失われますが、糖尿病、高血圧、高脂質などの生活習慣病が原因で動脈硬化が進行すると、血管が狭窄し、血流が著しく悪化します。

    海綿体の毛細血管は、体の中でも特に細く、動脈硬化により非常に血流が低下しやすいため、勃起の維持に必要な血液を陰茎海綿体に送りこむことができなくなります。これが動脈硬化の合併症としてのED発病の原因です。
    また、陰茎海綿体内の血流が悪化すると、勃起の鍵を握る平滑筋細胞に十分な栄養が行き渡らなくなり、平滑筋の機能障害や減少を招きEDが深刻化します。

    血管内皮細胞の損傷による
    NO産生量の低下

    さらに、動脈硬化の進行により血管内皮細胞が損傷されることで、十分な内皮型NOが分泌されず、平滑筋細胞の弛緩を持続させるcGMPの産生が困難になります。

    降圧剤の副作用によるEDの進行

    高血圧は動脈硬化の主因ですから、それだけでもEDのハイリスク群ですが、降圧剤の服用による副作用でEDが悪化するリスクもあります。
    いわば、器質性と薬剤性の複合型EDです。

  • EDは全身的リスクのバロメータ

    海綿体の動脈及び毛細血管は、体の中でも特に細く、動脈硬化により、血流がもっとも低下しやすい血管です。そのため、EDは心筋梗塞や狭心症などの心臓病や脳梗塞の前兆の可能性があり、体内の動脈硬化の進行度合いを推量するバロメータと言われています。

  • 糖尿病によるED進行のプロセス

    糖尿病は動脈硬化の主たる原因ですから、糖尿病が進行すると、前記の動脈硬化による血管障害(血管性ED)が引き起こされます。
    さらに、動脈硬化による血管障害に加えて、以下の障害を複合的に誘発します。

    糖尿病性末梢神経障害

    長期間にわたって高血糖状態が続くと、終末糖化産物(AGEs)の蓄積による神経の酸化、神経組織の浮腫みや虚血などにより、自律神経がダメージを受けます。
    糖尿病においては、神経が、「糖化(AGEs)+虚血+代謝異常+炎症の“4重攻撃“」を受けて破壊されます。この結果、脳からの「勃起せよ」というシグナルが海綿体にうまく伝わらなくなります。
    また、神経回路が障害されると、刺激に対する反応が鈍くなります。
    これらの複合的な神経障害の結果、勃起のスイッチとなる神経型NO(nNOS)が減少し、cGMPが十分に産生されないため、平滑筋細胞を弛緩させることができず、そもそも勃起自体が困難となります。

    平滑筋の繊維化による弛緩機能の低下

    高血糖による血管内皮の炎症に反応してTGF-β1という成長因子の抗炎症作用が活発になると、小柱内の平滑筋細胞の筋線維芽細胞への分化を誘発し、コラーゲンを過剰分泌します。その結果、小柱組織の線維化が進み、平滑筋細胞が弾力性を失い弛緩しにくくなります。

  • 糖尿病性EDにバイアグラなどの
    薬剤が効きにくい理由

    神経と血管の両方が損傷される糖尿病性EDの場合は、動脈硬化が進み、陰茎内の血管内皮細胞や神経終末から分泌されるNO量が大幅に減少します。NO分泌量が減少するとcGMPも産生されないため、勃起しにくい状態になります。
    このようなNO産生量減少型のEDは、そもそも勃起や維持に必要不可欠なcGMPが十分に産生されないため、バイアグラなどPDE5阻害剤を用いてもその効果はあまり期待できません。

一般的なEDの治療法

EDに対する治療法としては、バイアグラなどの薬剤が最も一般的ですが、狭心症や心筋梗塞などで服用できない方や、糖尿病の進行により効果が限定的な場合には、以下のように他の治療法もあります。
この中で、ED治療薬とICI療法は即効性は高いですが、その効果は一時的でED自体の根治は期待できません。従って、EDを発病した原因を突き止め、生活習慣面などの見直しを図ることが重要です。

治療法 作用 効果の発現 副作用/問題点

薬剤

バイアグラ PDE5阻害薬
勃起に不可欠なcGMPを分解する酵素(PDE5)を阻害し勃起を維持

・即効性、持続時間、食事の影響面で差異あり

・頭痛、顔のほてり、鼻づまり、消化不良など

・心血管系障害者、硝酸薬(狭心症治療薬など)服用者は禁忌

シアリス
レビトラ
ザイデナ
(韓国製)
【日本未承認】PDE5阻害薬

・即効性と持続時間のバランス良好

・頭痛、顔のほてり、鼻づまり、消化不良など

・心血管系障害者、硝酸薬(狭心症治療薬など)服用者は禁忌

スタダリン
(スタグラ)
【日本未承認】PDE5阻害薬

・心血管リスクがある人でも比較的使いやすいとされる

・PDE6(視覚系)や PDE1(心血管系)への影響が比較的少ない

陰茎海綿体自己注射療法
(ICI療法)

【日本未認可】
陰茎海綿体に血管拡張薬を直接注射

・注射後1時間効果が持続

・70–90%以上の有効率

・PDE5阻害薬が効かない症例でも有用

・陰茎痛、持続勃起症(4時間以上)、海綿体繊維化、不整脈

・めまい

・顔面紅潮など

衝撃波治療
(ED-MAX、RENOVA等)

衝撃波による血管新生の促進 自然勃起の回復時

・血管性ED(動脈硬化

・糖尿病初期)に効果的

・血流が悪く勃起しにくい”タイプのEDを構造面から改善

・痛み

・腫れ

・赤み

陰圧式勃起補助具

筒状のポンプに陰茎を入れて空気を抜き、陰圧(真空)で血液を陰茎へ引き込む装置

・薬を服用できない(心臓病・硝酸薬使用など)人にも使用可能

・陰茎内の血流を定期的に入れることで廃用萎縮を防ぐ効果

・内出血(青あざ)

・冷感・しびれ感

・射精がしにくい

・勃起の感触が「やや不自然」

・長時間のリング装着による組織障害(壊死リスク)

陰茎プロステーシス
移植手術

陰茎にシリコン製の支柱を埋め込人工的な勃起状態を作り出す外科手術

・随時可能

・高額

・快感が得にくい

※右にスライドできます

ED再生医療という選択肢

先に説明したとおり、一般的な治療法は、持続性・副作用及びリスク・利便性などの面でそれぞれ一長一短であり、全てを満たす選択肢はありません。
そこで、近年、EDに対する再生医療が注目を浴びるようになっています。
主なED再生医療としては下記が挙げられますが、いずれも「根本的改善が期待できる」「高い安全性(副作用が殆どない)」点が共通です。

  • PRP(多血小板血漿療法)

    自身の血液から血小板を濃縮した血漿(PRP)を抽出し、損傷した組織に注射する治療法。
    成長因子が豊富なPRPによる自己治癒力を高め、組織修復や痛みの軽減を促す比較的簡易な再生医療。自分の血液を使うため副作用が少なく、スポーツ外傷や変形性膝関節症、肉離れなどに用いられている。

  • 幹細胞培養上清液(エクソソーム)注射

    幹細胞を培養した際に分泌される数百種類の成長因子やサイトカイン、エクソソームを含む培養液を局部に注射する治療法で、培養する幹細胞の由来によって、脂肪、乳歯歯髄、臍帯などの種類がある。肌や毛髪の再生、膝関節など身体の多様な部位に適用されており、血流改善を目的にED治療にも使用されている。

  • 幹細胞治療(陰茎海綿体への注入)

    患者自身の体内から採取した組織から幹細胞を分離して培養し、陰茎海綿体に注入する本格的な再生医療。培養上清液と同様に幹細胞が放出する多様な成長因子やサイトカイン、エクソソームによる血流改善や神経修復作用に加えて、幹細胞の分化能も期待される。日本で治療を提供しているクリニックは僅少。