幹細胞培養上清液の種類
(幹細胞の「由来」)と特徴
幹細胞培養上清液は、「体内のどこから摂取された細胞を培養した幹細胞を使用しているのか」、すなわち「由来」によって、「歯髄由来」「脂肪由来」「臍帯由来」「臍帯血由来」「骨髄由来」などに分類されますが、現在、日本国内で流通しているのは「歯髄由来」「脂肪由来」「臍帯由来」が大半です。
幹細胞培養上清液の種類(由来別)
乳歯歯髄 | 臍帯 | 脂肪 | 骨髄 | |
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細胞増殖能 | ◎ | 〇 | △ | 〇 |
特徴的な成長因子 | VEGF NGF IL-22 | HGF TGF-β | MCP-1 HGF | IL-7,11,12 SDF-1 |
主な対象疾患 | 糖尿病/腎症/認知症/ED | 免疫疾患/小児麻痺/美容 | 肝炎/育毛/睡眠障害 | 脊髄損傷/骨再生 |
検体の入手経路 | ドナー直 歯科医 |
産婦人科 臍帯バンク 海外 |
美容クリニック 海外 |
骨髄バンク 海外 |
ドナーの身元 | 明確 | 不明 | 不明 | 不明 |
特性 | 倫理的問題がない | ドナーの年齢や 疾患に左右される |
ドナーの年齢や 疾患に左右される |
採取時の 侵襲性が高い |
健康な日本人の幼児の生え変わりの乳歯を活用した「乳歯歯髄由来幹細胞」
を培養して培養上清液を独自に作製し、患者様にご提供しています。
*歯髄細胞とは、歯の中心部分にある歯の神経のことで、歯の硬い層にガードされているため、遺伝子に傷が付きにくく、非常に活動性に優れ、癌になりにくい良質な幹細胞を多く含有しています。
当院が乳歯歯髄由来幹細胞を採用する理由
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1.検体の優位性=若く活性度の高い
「エリート細胞」エクソソームは細胞の遺伝子情報が反映されており、その細胞の質の影響を強く受けますので、検体の選定は最重要ポイントです。老化した幹細胞が分泌するエクソソームには、細胞の「ゴミ」であるアポトーシス小体が多く含まれ、治療効果が弱くなります。また、老化した幹細胞は、炎症性のM1マクロファージの活性を高めてしまい、治療することでかえって老化や炎症を促進することもあります。従って、成人女性から採取される脂肪由来幹細胞は、ドナーが高齢であればダメージの大きい幹細胞である可能性があります。 この観点からすると、細胞分裂が活発な成長期の幼児の生え変わりの乳歯歯髄は、細胞が損傷しダメージを受けている可能性が極めて低く、良質なサイトカインやエクソソームが産生されます。 また、歯髄は構造上、非常に固いエナメル質及び象牙質で保護されており、傷つきにくい特性も有しています。
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2.歯髄固有の優れたサイトカイン
培養上清液は、それぞれの由来によって、含まれるサイトカインの種類が異なっています。下記は、脂肪や臍帯など他の由来には殆ど存在せず、歯髄由来幹細胞培養上清液のみに含まれる(あるいは他の由来と比べて圧倒的に高濃度である)特徴的なサイトカインの一部ですが、当院は、特に歯髄幹細胞の極めて優れた血流改善作用と神経組織修復・保護作用を重視しています。
たとえば、当院の主力ターゲットである糖尿病、腎症、EDなどの末梢血管障害に対しては、VEGFをはじめとする血管新生を促す成長因子が適しています。
また、歯髄は神経組織であるため、他の由来の培養上清液に比べて、NGF、BDNF、Angiogeninなどの神経組織を修復または保護する成長因子が格段に多く含まれています。このため、神経系脳疾患であるパーキンソン病やアルツアハイマー型認知症に対する効果に優れています。-
血流改善
● VEGF(血管内皮増殖因子)
● SCF(幹細胞因子)
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神経組織修復・保護作用
● NGF(神経成長因子)
● BDNF(脳由来神経栄養因子)
● GDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)
● Angiogenin(アンギオゲン)
● NRG-1(ニューレグリン-1)
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骨形成
● BMP-2(骨形成タンパク質-2)
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抗炎症作用
● IL-22(インターロイキン-22)
● IL-28A(インターロイキン-28A)
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免疫調整
● IL-7(インターロイキン-7)
● IL-6(インターロイキン-6)
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マクロファージ作用
● MCP-1
● Siglec-9
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3.検体の入手経路の透明性
(ドナーの身元の特定)当院では、乳歯歯髄を提供するドナー全員と面識があり、年齢・健康状態・両親の素性などの個人情報を全て把握し、当院の勤務医の子供をはじめとする健康で優れた遺伝子を有する日本人の幼児のみの乳歯を検体として採用しています。
この点は、検体の入手経路が不透明でドナーの身元が判明していない他の脂肪由来・臍帯由来と大きく異なる点であり、患者様の安心感に繋がると考えています。