T.M様は、2016年に2型糖尿病と診断されて以降、サキサグリプチン(DPP-4阻害薬)で加療されていましたが、思うように治療効果が上がらず、HbA1cは8%台で推移していました。
体重92kg前後、BMI31.8%と重度肥満症です。
持病の膝関節症にも悩んでいたことから、糖尿病から変形性関節症まで全身トータルな再生医療を提供している当院に興味を持ち受診されました。
ご本人は、点滴と膝への局所注射の両方に対し幹細胞治療を希望されていましたが、当院の培養上清エクソソームは膝関節症患者様に対し多大な治療効果を体感して頂いているため、お申込み頂いた幹細胞2億個については、糖尿病治療のための点滴に全量使用することにしました。
2025年2月4日の初診から約2週間後の2月17日時点の当院における検査ではHbA1cは8.0%でした。
この日に腹部から脂肪採取を行い、幹細胞を分離して培養開始し、3月28日と5月10日に、それぞれ幹細胞1億個と培養上清エクソソーム15㎖を点滴により投与しました。
また、同時に培養上清液の膝関節への局所注射も施行しました。
いっぽう、薬剤指導の一環として、高度肥満症の改善が必要であるため、経口型のGLP-1受容体作動薬「リベルサス」を勧め、5月ごろより服用を開始しました。
このGLP-1受容体作動薬とは、血糖が高い時に分泌されインスリン分泌を促進させるGLP-1というホルモンを模倣した薬剤で、血糖を下げるだけでなく、食欲を抑えて体重を減らす効果があります。最近、社会現象ともなっている「マンジャロ」をはじめ自分で皮下注射するタイプが主流で、経口型は「リベルサス」しかありません。
当院では、例えば、瘦せている高齢者に対しては、減量効果が限定的な「トルリシティ」を選定するなど、患者様の年齢や体質、生活習慣に合わせて処方しています。
当院での治療開始後の体重の推移は2025年3月時点で91.4kg、5月90.5kg、6月には88kgと少しずつ減量し、治療終了後の7月12日時点のHbA1は、6.4%まで改善しました。
この患者様は、肥満症で、膝関節症も併発しているため、減量が必要と判断しました。
そのため、かかりつけの病院で処方されていなかったGLP-1受容体作動薬(リベルサス)を処方したところ、3~4か月間で約3キロの減量に成功したことは重要なポイントです。
このように、当院の糖尿病再生医療は、単に幹細胞治療を提供するだけでなく、薬剤の見直しや懇切丁寧な生活指導を行うことが他院にない大きな特長です。
いっぽう、減量率約3.7%に対し、HbA1cは1.6%も低下しています。
一般的に、5~10%の減量によりHbA1cが0.5~1.0%低下するとされていますので、GLP-1受容体作動薬「リベルサス」による体重減少を遥かに上回る再生医療の効果があったと評価できます。
治療開始からわずか4か月間で、HbA1cが8%台からほぼ正常値の6.4%まで大幅に改善した肥満症糖尿病患者様に対する当院の再生医療の成功事例と言えます。