幹細胞培養上清液とは?
幹細胞は、豊富な栄養分を含む特殊な培養液(培地)を用いて増殖させていく過程で、培養液の中に、
数百種類の多種多様な生理活性物質(成長因子などのサイトカインやエクソソーム)を分泌します。
この幹細胞を培養した後の培養液から、細胞そのものや不純物を取り出した上で、
適切な滅菌処理などを施した液体(上澄み液)が「幹細胞培養上清液」です。
つまり、幹細胞培養上清液とは、幹細胞自身が放出したサイトカインやエクソソームをはじめとする
多様な生理活性物質の「集合体」と言えます。
4つの主要機能
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1,炎症を抑制する機能
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2,炎症で損傷した細胞を
保護する機能 -
3,体内に存在している
幹細胞を活性化させ、
必要な細胞に分化させる機能体内の幹細胞の遊走能を高め、損傷部位に協力に集め、失われた組織や臓器を修復する再生機能を活性化する
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4,新たな血管を造成する機能
幹細胞培養上清治療
(エクソソーム療法)のメリット
幹細胞培養上清エクソソーム治療は、幹細胞が隣接する細胞に作用する「パラクライン効果」と呼ばれるメカニズムを応用
したもので、幹細胞と同等の効果が期待できる上、幹細胞治療と比べて以下の利点があります。
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merit01 01 細胞自体が一切含まれていないため、適合性(免疫拒絶)の
リスクが無く、他人の若い幹細胞由来の培養上清液を使用できること当院は成長期の幼児の活性度の高い乳歯歯髄由来幹細胞を採用しています。
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merit02 02 点鼻などの手段により、遠隔地在住の方でも通院せずにご自宅で
治療を継続できること当院は月間800㎖以上の培養上清液をご自宅に点鼻用としてお届けしています。(※2024年5月現在)
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merit03 03 厳格な規制のもと、厚労省に届出済の疾患・部位にのみ適用可能な幹細胞治療と異なり、医師の判断により身体の多様な部位に投与可能であること
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merit04 04 高額な幹細胞治療と比べて費用が割安であり手軽に体験できること
幹細胞培養上清液は、成長因子をはじめとする「サイトカイン」や細胞間の情報伝達を担う「エクソソーム」など、幹細胞が分泌する多種多様な生理活性物質の集合体であり、培養過程で生じるアポトーシス小体などのゴミや老廃物を
フィルトレーションにより丁寧に取り除いたものです。
以下に、培養上清液の主役であるサイトカインとエクソソームについて説明します。
サイトカインとは?
サイトカイン(cytokine)とは、細胞から分泌される低分子のタンパク質(生理活性物質)の総称で、現在までに数百種類発見されていますが、このサイトカインのうち、特定の細胞に対する増殖や分化を促進するタンパク質の総称を「成長因子」と呼びます。
近年の研究によれば、サイトカインには、体内にある再生能力の高い細胞に働きかけ、組織の修復を促す機能があることが分かっており、様々な疾患の改善やアンチエイジング効果において、幹細胞そのものの移植治療(幹細胞再生治療)と同等の役割を担うことで注目されています。
特に、加齢によるダメージを受けていない若い検体の幹細胞培養上清液には、数百種類にのぼる優秀なサイトカインが極めて豊富に含まれており、身体各部位の多様な疾患の抑制に強力に作用します。
幹細胞培養上清液に含まれる
主な成長因子と期待される効果
・抗炎症作用:障害部位(損傷部位・炎症部位)の治癒促進、疼痛軽減効果
・血管再生・血管新生作用:動脈硬化性病変の改善・進行予防、EDの改善
・スカベンジャー(活性酸素除去)作用:疲労回復、生活習慣病予防など
・免疫調節作用:アレルギー疾患、自己免疫疾患など
・神経細胞修復・再生作用:脳梗塞、脊髄損傷など
・骨再生作用:骨粗しょう症、歯肉炎(歯槽骨の再生)など
・美容作用:シワやたるみの改善、増毛・育毛作用など
・体内の幹細胞分化促進作用:自己再生能力の誘導など
・組織修復作用:肝障害、間質性肺炎など
・培養上清中のエクソソームによる作用:がん細胞の増殖抑制・転移抑制など
エクソソームとは?
いっぽう、エクソソーム(Exosome)とは、細胞から分泌される直径50~150nm(ナノマイクロ/*10億分の1メートル)の極小の顆粒状物質のことで、細胞外小胞の一種です。
エクソソームの内部に存在する核酸には、マイクロRNAやメッセンジャーRNAなどその細胞の遺伝子情報が内包されているため、分泌された元の細胞の特徴をそのまま反映しています。
細胞から分泌されたエクソソームは、暫く細胞と細胞の間に存在し、ある時点で、隣接する別の細胞(受容細胞)内に取り込まれます。エクソソームを取り込んだ細胞は、エクソソームを分泌した細胞の遺伝情報を受け取ることになり、この結果、健康な細胞から分泌されたエクソソームは受容細胞の代謝や修復を促進させるいっぽう、逆に悪性腫瘍の遺伝子を取り込んだ受容細胞に悪影響を及ぼすことが報告されています。
このように、エクソソームは細胞間の情報伝達因子と呼ばれ、いわば細胞間のコミュニケーションツールの機能を果たしていることから近年大変注目されていますが、上記のとおり、細胞の特徴が凝縮された物質なので、どのような細胞から分泌されたエクソソームであるかが極めて重要です。
近年、巷では幹細胞培養上清液からエクソソームのみを抽出したと称する製剤が出回っていますが、実はこれらの大半は培養上清液のことです。
また、エクソソームの抽出自体は技術的に可能ですが大変高コストであるため、その分、患者様の治療費用も高額となります。
当院としては、「成長因子をはじめとする数百種類のサイトカイン+エクソソームの集合体」である高濃度な培養上清液の中から、あえてエクソソームのみを単離することには懐疑的です。むしろ、多様な疾患に対し有意に働くサイトカインと、それらを細胞内に送り込むメッセンジャーであるエクソソームの両方を同時に採取できる幹細胞培養上清液に分があると考えます。