活動報告

2024年4月29日、 『Hyper Plasma SPARK TM』は、 青山レナセルクリニックで開発中のプラズマ機です。
特許出願済みのプラズマリアクタでプラズマジェットを発生させます。既に機能試作を完成させ基本性能試験を実施しています。
試験を進める中で問題点も出てきました。本報では、 ケーブルの放電対策について報告します。

物質をプラズマ状態にするためにはエネルギーが必要です。熱、 紫外線、 電気などが考えられますが、
Hyper Plasma SPARK TMでは、 制御が簡単で効率の良い『電気』を使っています。すなわち、 物質に高電圧を印加するわけです。
高電圧を応用する場合、 特別な配慮が必要です。例えばコネクタや端子台など十分に距離を離さないと放電が発生します。
放電にも種類があって、主にアーク放電とコロナ放電があります。アーク放電は溶接に応用されている放電現象で、
鉄が溶けるほどの高温状態になるため大変危険です。いっぽうコロナ放電は『セントエルモの火』のような自然現象にも見られ、
ほとんど電流は流れないため危険性は低いです。しかしながら、アーク放電、コロナ放電どちらの放電も発生することで
リアクタ(プラズマ反応機)での電力が減少し、生成されるプラズマも減少してしまいます。

Hyper Plasma SPARKでも高電圧機器のケーブル内でよく見られるコロナ放電が試験中に僅かに観測されました。
プラズマの発生効率の低下を防ぐためには放電を最小化する必要があります。
そのためにケーブルを太く短くする手段もありますが、患者様に施術を行う上で2m程度の長さと柔軟性が求められています。
この条件下で放電を最小化するための内部構造およびケーブル材料について実験を重ねています。



写真はコロナ放電の発生状況です。とても弱い放電なので、 真夜中に部屋の電気を消して観測します。
青白い露のように見えるのがコロナ放電です。ケーブルを太くすればコロナ放電を抑止できますが柔軟性がなくなります。
コロナ放電対策ケーブルなどを取り寄せて試しています。

その他、 Hyper Plasma SPARK の改良を進め、 いちはやく皆様にご利用いただきたく日夜奮闘中です。

2024年4月29日(文責:青山レナセルクリニック 医工連携推進室長 金子昌彦 Ph.D.)



活動報告一覧

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本ページでは低温プラズマを用いた再生医療に関する論文を、田中医師が分かりやすく解説しております。

プラズマ再生医療臨床統括医 田中 祐一
2014年 東京医科大学卒業後、同大学病院救命救急センター及び関連病院勤務を経て、2024年1月より青山レナセルクリニックにて幹細胞治療全般を担当する他、プラズマ再生医療臨床統括医として活躍中。内科認定医、外科専門医、消化器専門医

アルゴンプラズマを用いた消化管潰瘍治療の効果について

発表元: World J Gastroenterol
公開日: 2011年9月
要旨: アルゴンプラズマの治療応用は進んでおり、高い効果と安全性から広く利用されています
消化器内視鏡領域では、出血性病変(潰瘍など)の治療での利用が進んでいます。内視鏡専用の機器も多数開発されており、実用されています。
今回、紹介した論文でも、アルゴンプラズマによる止血治療は、その他の止血方法と比較して、効果・合併症の程度が高いことを報告しています。
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22039325/

術後感染に対するプラズマ治療の効果

発表元: New Microbes New Infect. 2013 Dec; 1(3): 41–43
公開日: 2013年12月
要旨: 今回の論文は症例報告になります。49歳・男性が耳(真珠腫)の術後感染を起こしました。患者は術後感染による痛みに苦しみ、抗生物質と鎮痛薬を内服していました。この患者に、大気圧低温プラズマによる治療を行ったところ、炎症・痛みが大幅に改善し抗生物質と鎮痛剤の使用を中止できました。プラズマ治療による高い殺菌効果を示す論文です。
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4184693/

糖尿病性潰瘍の創傷治癒に対するプラズマ療法の効果

発表元: Bernd Stratmann, PhD,Tania-Cristina Costea, MD,Catharina Nolte, MD,Jonas Hiller, MD,Jörn Schmidt, MD,Jörg Reindel, MD,Kai Masur, PhD,Wolfgang Motz, MD,Jürgen Timm, MD, Wolfgang Kerner, MD,and Diethelm Tschoepe, MDcorresponding author
公開日: 2020年7月
要旨: 糖尿病により足部に潰瘍を形成することがあり、治療が難渋することが知られています。
筆者らは、糖尿病性の足部潰瘍の治療にプラズマ治療を追加することで、一般的な治療に比べ 、創傷治癒の改善と治療期間の短縮が見られることを発見しました。また、プラズマ治療にゆる有害事象は認めなかったことを報告しています。
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7366186/

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